音楽療法士って?

音符

音楽を活用して心理療法を行うスペシャリスト

病気を患う方や精神等に障害を持った方が音楽を聞き、楽器を奏でると、脈拍が落ち着いたり、血圧に変化が出たりします。
心理的に良い影響が生じ、それに伴い、カラダにも良い生理的な変化が生じ、精神的な不安を和らげ、寛がせ、病状緩和の一助となります。

音楽療法士は音楽が持つこのような働きを活用して、計画的に音楽を治療の手段として実践することを業務とします。
この療法の対象者は、主に精神面で問題を抱える人で具体的には、高齢者、発達障害者、不登校児、薬物乱用者等多岐にわたります。

この療法はまだまだ発展途上の段階ですので、看護師や介護福祉士等現場で活躍しながら、この資格を取って音楽療法を取り入れる方が多いです。
しかし近年、音楽療法を国家資格に格上げをという声も多く、音楽療法が広く認知されるに従い、近い将来は音楽療法士が重要視される資格になっていく可能性があります。

音楽療法士が担う業務

最初に患者の身体・精神両面の症状を聞き取り、療法プランを立てて実践し、病状の経過観察を継続します。
療法の途中も患者の観察を続け、その療法がどんな影響を患者に与えているか見極めて、計画の見直しの必要性を検討します。

医療分野の治療を担当する医師や看護師などの医療スタッフと緊密な連携を保ちながら、音楽療法の視点から精神面・心理面をケアします。

音楽療法の方法は、受動的なものと能動的なものの2タイプに大別できます。

受動的な方法は、音楽を聴くことにより効果を得ようとするもので、音楽のジャンルやリズムによって心に響く影響は違い、精神安定に効果のある曲を適切な場面で聞かせます。

多くの対象者に簡単に実施できる汎用性のある手法で、認知症の高齢者にも効果が確認されています。

能動的な方法は、リハビリを受ける対象者と音楽療法士がともに歌を歌ったり、楽器を奏でたり、リズムをとって動いたりする手法です。
現実に体を動かすことにより運動機能の回復のみならず、精神面にも良い影響が確認されています。

音楽療法士の資格と将来

音楽療法士は国家資格ではなく民間が認定する資格です。
受験資格取得のためには、資格試験受験の認定校で一定の課程を修めて、受験資格を取得します。
ほかのルートとして、学会主催の必修講習会を受け、経験3年以上等の条件をクリアすれば受験資格が取得できます。

主な勤務先は、病院、高齢者介護施設、障害者福祉施設、特別支援学校等様々な場所で活躍しています。
しかし、正式に音楽療法士としての求人を出すケースは稀で、心理カウンセリングや要介護者等のケアの現場で、付随的に音楽療法を実施することが多いです。
精神的な疾患に関しては積極的に導入が進んでおり、また今後ともストレス社会が進み精神を病む人が増えることが予想され、海外での活用実績は積み重ねられているため、将来は地位が確立される方向にあると言えます。